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■木材・木造建築物の効果(1)~(12)

■(1)木材の匂いで心も体もリラックス


木材の匂いで心も体もリラックスできるの?

心理的な効果はもちろん、血圧を低下させるなど、
体もリラックスさせる作用があることが明らかになってきました。


樹木はそれぞれの樹種に固有な匂いを持っています。
まだ新しい木の家に入ると、
木の匂いがいっぱいでなんとなく気持ちが落ち着くものです。
このような日本の木の家に多く使われているスギやヒノキなど
針葉樹の匂いについて研究が進んでいます。


【スギチップの匂いの作用により血圧が低下した!】

男性被験者(20歳代 14名)に対し、20秒間の安静の後、
90秒間スギチップの匂いを呈示し、血圧を測定しました。
その結果、吸入開始後収縮期が低下し、開始後40秒~60秒で
吸入前に比較して有意な低下を示しました。
血圧は、ストレスがかかると上昇することが知られています。
したがって、血圧が低下したということは
スギの匂いにより体がリラックスしたことを表していると解釈されています。

■匂いの心理的影響について■
ふと漂ってきた匂いによって気分が安らいだり
リフレッシュした経験は誰にでもあるでしょう。
スギやヒノキなど日本の木の匂いは私たちになじみ深いものです。
匂いの心理的影響については多くの研究例があります。
たとえば、歯科の患者200名を対象とした研究では、
待合室にオレンジやラベンダーの匂いを漂わせたところ、
患者さんの不安感が減少し、気分状態が改善したとの結果が得られました。






■(2)木材の匂いを嗅ぐと、免疫力がアップ


木材の匂いを嗅ぐと、免疫力がアップするの?

人体の免疫力への働きかけが明らになりつつあります。
風邪の予防などに木材の匂いを活かせるようになるかもしれません!


作用のしくみはまだ不明ですが、
木材の匂いの成分がストレスを軽減し、免疫細胞の働きを向上させると考えられます。


~ストレスと免疫力の関係~

様々な研究により、ストレスと免疫力の働きには密接な関係があることが示されています。
たとえば、ストレス時に分泌されるホルモンが、
NK細胞(免疫細胞のひとつ)の働きを抑制することがわかりました。

ストレス研究の始祖であるハンス・セリエは、ストレスへの抵抗力が長引くと
やがて体が疲れ切ってしまい、正常な抵抗力を発揮できなくなると唱えました。

ストレスを上手くコントロールすることが重要です。



■(3)木材は視覚的にどのような効果があるの?


-木材は視覚的にどのような効果があるの?-

木材は視覚的に心理的な印象に影響するとともに
心拍など生理面に影響することが明らかになりつつあります。



木材の外観は、一般的に「木材色」、「木目模様」、「光沢」で特徴づけられます。
木材を内装に用いた部屋では、
視覚的効果で「あたたかい」「自然な」印象を与えるだけでなく、
血圧、心拍など生理応答にも影響を及ぼすことが実証されています。




【木材率が生理応答や快適感などに影響を...】

木材率(全内装面に占める木材の面積比率)が自律神経系の生理応答や
快適感などに影響を及ぼすことが明らかになりつつあります。
広さや調度品が同じで木材率の異なる部屋において、
血圧、心拍、脳血液動態などの生理応答の測定及び部屋の主観評価が行われました。

その結果、木材率が45%の部屋では心拍数が有意に増加し、
木材率が90%の部屋では収縮期血圧が有意に低下しました。
しかし、木材率が0%の部屋では、これらの生理応答に変化は見られませんでした。




■(4)木材の触りごこちは人にどのような影響を与えるの?


-木材の触りごこちは人にどのような影響を与えるの?-

木材の持つ独特の触りごこち(接触感)は、
人体への生理的なストレスが少ないことが明らかになってきました!


木材は顕微鏡レベルで見ると、
中空のパイプ状の組織が並列に配列したハニカム構造を持っており
このことが木材特有の接触感を生み出しています。



~木材への接触は生理的ストレスを生じさせにくい~

血圧はストレスがかかると上昇することが知られています。
木材、及び他材料への接触が血圧に及ぼす影響について調べたところ、
木材は他材料と比べて、
生理的なストレス状態を生じさせにくいとする研究結果が得られています。


アルミニウム、アクリルなどの人工物へ接触したとき材料が室温のときも血圧は上昇し、
材料が高温あるいは低温のとき、血圧上昇はさらに大きくなりますが
木材への接触においては、
室温での血圧上昇は小さく、低温時には血圧上昇をもたらしませんでした。




■(4)木材の触りごこちは人にどのような影響を与えるの?- 追加 -


-木材の触りごこちは人にどのような影響を与えるの?~追加~-

①接触感とは?

人がいろいろな材料に触れたり素足で歩いたりしたときに感じる感覚を接触感といいます。
接触感は、大きく分けて
温冷感粗滑感硬軟感乾湿感からなると考えられています。


②木材の温冷感-触れても冷たさを感じにくい

温冷感は熱の伝えやすさ(熱伝導率)と密接な関係があることが知られています。

熱を伝えやすい(熱伝導率が高い)材料は、
接触した瞬間に人体から多くの熱を奪うため冷たく感じます。
木材は、その内部に空隙を多く持ち、含まれる空気が熱の伝導を妨げるため、
金属やガラスと比べて、あまり冷たさを感じません。




■(5)木材は衝撃に対してどのような特徴がありますか?


-木材は衝撃に対してどのような特徴があるの?-

木材は衝撃力が加わると、塑性や弾性の変形で
衝撃エネルギーが消費されるため、衝撃力を緩和する効果がある材料といえます。


木材は多孔質の組織構造で、衝撃力が加わると組織がつぶれたり、
たわんでまたもとに戻ったりします。 これらの性質を塑性あるいは弾性といいます。
この性質により、衝撃エネルギーは消費され、跳ね返ってくる力は衝撃力より弱くなります。
つまり、木材は衝撃力を緩和する効果があるといえます。


【木造床の構造によって、木材の衝撃緩和効果が変わります】

建物の木造床では、
衝撃緩和の効果は床板の樹種や厚さ、下地の材料、床組の工法によって異なります。
これを検証するため、特別養護老人ホームを対象としてアンケート調査が行われました。

それによると、 床板の下に根太・二重板・その他を施工した「直貼り以外」の床では、
転倒や転落による骨折事故が、
床板をコンクリートの上に「直貼り」した場合の約2/3に減っています。


これは、根太組の床にすると衝撃が加わって床がたわみ、

           さらに衝撃が緩和されるためと考えられます。







■(6)内装の木質化は睡眠の質や知的生産性に影響?


-内装の木質化は、睡眠の質や知的生産性に影響しますか?-

木材のリラックス効果により、良質な睡眠をもたらし、
日中の知的生産性の向上につながることが期待されています。


内装に木材を使用していない部屋と比較し、無垢材を使用した部屋では
深睡眠の時間は有意に長く、日中の作業効率も有意に高くなる傾向が確認されています。


~睡眠の質が向上し、知的生産性する傾向が確認されています~

内装の木質化率によって深睡眠時間が変わる傾向が確認されました。
木質化率0%の部屋と比較して、45%の部屋と100%の部屋は、
深睡眠時間が有意に長くなる傾向となりました。

また、木質化率の異なる部屋での睡眠後、
日中の知的生産性が変わる傾向が確認されました。
木質化率0%ケースと比較して、45%のケースと100%のケースでは、
タイピングの作業成績が有意に高い傾向となりました。




■(7)人がいる居住空間内で、木材は湿度を調節してくれる?


-人がいる居住空間内で、木材は湿度を強調してくれる?-

内装に木材を用いることで
空間内の湿度をある程度一定に保った過ごしやすい環境づくりが可能となります。


室内の壁、床、天井に無垢材など木材を用いると、
木材の吸放湿作用が室内空間の湿度をある程度一定に保ちます。
それによって、過ごしやすい環境づくりが可能となります。
また、湿度を保つことでハウスダストの原因となる
ダニや細菌の生存がしにくい環境にもなります。


【人が寝ている室内で木材の吸放湿作用により湿度の上昇が抑えられます】

内装に木の無垢材を用いた部屋と木目調のビニルクロスを用いた部屋で
睡眠時における室内の湿度を測定すると、
季節に関わらず無垢材の方が、ビニルクロスを張り付けた部屋より湿度が低くなります。
通常、寝ている状態では人の呼気や発汗等により時間と共に湿度が上昇しますが、
無垢材が吸湿作用を発揮し、その上昇を抑制したと考えられます。
ビニルクロスを貼り付けた内装では、水分をあまり吸収しない素材が
表面に露出しているため、容易に湿度が上昇してしまいます。


■木材の吸放湿作用とは?■
木は切られてしまえばすべての生命活動は停止しますが、
周囲の温度や湿度の変化に合わせて空気中の水分を放出したり吸収したりするため、
俗に"呼吸している"と表現されることがあります。
切られて木材に加工されても、この吸放湿作用は続きます。






■(8)木材は消臭や抗菌に役立ちますか?


-木材は消臭や抗菌に役立ちますか?-

木材に含まれる様々な成分が、悪臭物質の吸着、
大気汚染物質の除去、および抗菌の効果をもたらします。


木材は、アンモニアなどの悪臭成分を吸着することによる消臭効果を有します。
また、木材から調整された精油には、二酸化窒素などの大気汚染物質の除去作用もあります。
精油などには低分子化合物が含まれており、それにより抗菌効果がもたらされます。


~木材には悪臭や大気汚染物質を除去する

               空気浄化作用が確認されています~


【木材チップ等によるアンモニアの濃度の低下】
精油をとった後の枝葉や木材チップを乾燥させ、
悪臭に暴露した試験において、アンモニアの濃度低下を急激に低下させました。
活性炭は悪臭をよく吸着することが知られていますが、
枝葉や木材チップも、同等の消臭効果をもつことが示されています。

【スギなどのタンニンによる悪臭物質の吸着】
スギ(特に樹皮)に多く含まれる、縮合型タンニンが
アンモニア等を吸着することが明らかになっています。

【樹木の精油による二酸化窒素等の除去効果】
トドマツの精油における、二酸化窒素等の大気汚染物質の除去効果が示されています。
大気を混和すると、
トドマツ葉精油は120分後に二酸化窒素が100%除去されました。
ヒノキやスギの精油も、120分後には約50%の除去率を示しました。
これらには精油に含まれるテルペン類が関与しています。






■(9)木材を使うことでダニを「防除」できる?


-木材を使うことでダニを「防除」できる?-

居住空間内で木材を使うことは、
チリダニ類の「防除」に有効な手段のひとつです。


木材の利用によるダニの防除効果のひとつは、
木の床による防除効果(物理的にダニの住処をなくす)であり、
もうひとつは、木材の匂い成分による防除効果(化学的な効果)です。


■床材を木の床に改装した結果、ダニ数が減少した!■
集合住宅のリビングルームの床を畳あるいはカーペットから木の床に改装し、
改装前6ヶ月と改装後11ヶ月の各月毎に各部屋の床上およびカーペット、
ソファー、ベットのダニ数を測定しました。
その結果、8月と9月の家の中の1平方メートルあたりのダニ数の平均は
104匹から23匹に減少したという研究結果が得られています。

■木材の匂いによりダニの行動が抑制された!■
ダニがチップに直接触れることがないように通気穴のある容器にいれて、
住宅や家具などによく用いられる木材(ヒノキ、ヒバ、スギ、ミズナラ、ケヤキ、
クスノキ)のチップの上に設置しました。
その後、温度25℃、相対湿度85%の環境で、72時間後まで動いている
ダニ数を数え、割合を算出しました。
その結果、チップから発散される匂いの成分には、
ヤケヒョウヒダニの行動を抑制する効果があるという研究結果が得られています。


【チリダニ類とアレルギー性疾患の因果関係】
住宅の中には、通常、ヤケヒョウヒダニなどのチリダニ類が生息し、それらのフンや
死骸も存在します。 
それらは、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患を引き起こす
原因のひとつです。
ダニが原因となるアレルギー性疾患を防ぐためには、家の中のダニ数を減少させ、
ダニと接触する機会を減らすことが重要です。






■(10)木材の利用、木造建築は地球環境にやさしい?


-木材の利用、木造建築は地球環境にやさしいって本当?-

森林資源の豊かなわが国においては、
木材の利用や木造建築物の建設を一層推進することにより、
二酸化炭素排出量の削減など、
地球環境にやさしい社会の形成に貢献できると考えられます。



【木造建築は他の構造より、建設・製造時のCO₂排出量が少なくて済む】
建築工事に係るCO₂排出量については、住宅を例にみると、木造が鉄骨造(S造)や
鉄筋コンクリート造(RC造)の6割程度となっています。
また、建設・製造時のCO₂排出量においては、建築資材の輸入距離も重要です。
たとえば、国産の原木を使用すると海外輸入(ロシア)の原木を使用した場合の35%に
抑えられることが分かっています。

■木材利用と樹木の計画的伐採が森林管理とCO₂削減の面から必要■
樹木が吸収するCO₂は、樹齢とともに増加するものの、ある樹齢で最大値をとり、
その後は減少していきます。
樹木が吸収できるCO₂は、7~9齢級で最大値をとり、その後は減少していきます。
こうしたことから、樹木は計画的に伐採して、木材として利用していくことが、
森林管理に加えてCO₂削減の効果の面からも必要となります。





■(11)木造建築には、
        他の構造と同じような火災安全性はある?


-木造建築には、他の構造と同じような火災安全性はありますか?-

木造で耐火構造する部材が開発・実用化され、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と
同等の火災安全性が確保できるようになっています。
また、ゆっくり燃える木の特性を生かした木造の準耐火構造技術の開発・普及が、
木造建築の実用拡大に寄与しています。



【4階以上を可能にする木造耐火構造の技術が開発・実用化されています】
木造の耐火構造は、被覆型、鉄骨内装型、燃え止まり型の3手法が実用化されています。
現在、すべての主要構造部のついて1時間耐火構造の部材が開発されていますので、
最上階から数えて4層までを木造で造ることができます。さらに、最近では被覆型による
2時間耐火構造部材が開発され、大臣認可取得されています。
これを使えば、耐火性能上は14階建ての木造建築物が実現できます。

【3階建以下に適用できる木造準耐火構造の技術開発・普及が進んでいます】
木造は熱伝導率が低く、燃えると表面に空洞を持った炭化層祖形成します。
炭化層は、断熱性が高く、熱の侵入を抑制します。
この性質を生かし、木材の表面から一定の深さの燃えしろを設けて残りの断面積で
構造計算を行い、火災継続中にその構造が倒壊しないようにするのが「燃えしろ設計」
です。それにより評価された木造の準耐火構造などが告示に示されています。
木造には、要求される防耐火性能に効率よく対応できる設計法が用意されているといえます。





■(12)木造建築は長持ちするって本当?


-木造建築は長持ちするって本当ですか?-

木造建築物の躯体を構成する木材は、腐朽、シロアリなどの生物劣化や、
雨水や太陽光等による気象劣化から木材を守ることができれば、
木材建築物が長持ちすることは、法隆寺などの歴史的建造物が証明しています。
また現代の木造住宅においては、
住環境を担保しつつも100年以上の耐久性を持たせる技術が確立されています。



【木材の腐朽対策には、栄養分と水分を制御することが有効です】

■栄養分を制御する■
木材が腐朽菌の栄養とならないように、木材を防腐薬剤で処理することが効果的です。
木材の含水率が高くなりやすい土台などの地際付近、風呂場や台所の水回り、窓や
ドアの開口部周辺に使われる木製部材は、防腐薬剤の注入処理や表面処理が必要です。


■水分を制御する■
腐朽対策として水分を制御するために、木材を常に乾燥状態に保つために建築物中に
水が侵入しないようにすること、侵入した場合は建築物内で滞留しないように排出する
ことが重要です。そのためには、以下のような対策が挙げられます。
①建築物に雨がかからないように十分な長さの軒やけらば、庇などを確保する。
②地面からの水分を防ぐために基礎を高くしたりベタ基礎の構造にする。
③壁体内に侵入した水分を排出するように通気工法の壁体にする。


【シロアリ対策では、ベタ基礎や防蟻薬剤を塗布することが有効です】
一般的なイエシロアリやヤマトシロアリは地下から侵入してくるので、
防蟻のためには、ベタ基礎にすること、床下土壌と地表面近くの木製部分に防蟻薬剤を
塗布しておくことが効果的です。また、基礎周辺に犬走りを設けたり、シロアリが好む
断熱材を防蟻仕様のものを採用することも有効です。

※腐朽の4条件とは?
腐朽は、大気中に漂う腐朽菌が木材に付着し、腐朽菌が生育可能な状態になると生じます。
木材が腐朽する環境とは、水分、温度、酸素、栄養分の4条件が揃った場合であり、
逆を言えばこれらの条件の1つでも欠ければ腐朽しないといえます。